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それでも新年度は始まる
大震災からちょうど1カ月が経ちました.被災した皆様にはお見舞い申し上げます.つくばは今でも2日に1度くらいは震度3とか4の余震が続いています.今日の余震は震度5弱.まだ,勤務時間には制限があるものの,ようやく通常の生活に戻りつつあります.私自身は幾つかデータは消えてしまいましたが,大きな被害は受けていません.産総研の建物には亀裂が入っているところもあり,一部立ち入り禁止が続いています.朋の書店も場所を限っての営業が始まりました.

つくばには多くの研究所がありますが,特に大型設備の被害が大きく,クリーンルームが機能しなくなったとか大型加速器が破損したなどの話を聞いています.温度を一定に保たないといけない生物系の研究も停電で大打撃を受けています.今後も電力不足のために大型設備を動かす目処が立たず,名古屋や大阪に実験拠点を移すという話もチラホラと聞かれます.

以前からカメラを使って人の流れを計測するという研究をしており,その計測結果をマーケティング支援や避難誘導支援に応用できないかと考えています.地震前の1月初旬に秋葉原で帰宅困難者避難訓練があり,その時に研究で開発した人流シミュレータを出展しました.そして,2月23日にニューメディアという雑誌から表紙の取材を受けました.マーケティング支援,避難誘導支援の内容で.隣は一緒に研究している山下さん.そこに,この大震災でした.

都内の電車はストップし,多くの帰宅困難者が出ました.10時間以上歩いて帰ったという話も聞きました.秋葉原では帰宅困難者避難訓練の甲斐もあってか,幸いにも大きな混乱はなかったようです.

東北が震源地の地震でさえこの状況ですから,東京近郊を震源とする地震があれば混乱は想像もつきません.関東大震災というと過去にあった遠い他人事のように感じていましたが,我々は地震の国に住んでいるという自覚が必要なようです.今後,東京に一極集中したツケを払わされるのかも知れません.

今,そしてこれから,研究者としてできることを考えていきたいと思います.

そんなことを考えていた矢先,東京電力が1時間毎の電気の使用量を公開し始めました.地震直後に何度か起きた計画停電は家庭や企業の節電の影響もあって,最近は回避されています.これから気候が良くなるので,当面は大丈夫そうですが,油断はできません.特に夏場・冬場の計画停電が心配です.企業の生産力を落とす節電よりは家庭の節電を心がけるべきだと思います.

という訳で電力の可視化を行い,家庭での節電効果が分かるようなサイトを作成しました.

http://denki.upat.jp

家庭でできそうなことをチェックして,「本日実行」を押してみて下さい.その効果が分かります.

最後に,情報技術研究部門 マルチエージェント研究グループからサービス工学研究センター 行動観測・提示技術研究チームに異動になりました.電力の使用量は人の行動に裏付けられている訳ですから,電力の可視化は正に,行動観測・提示技術だと言えると思います.新年度で気分一新,今後とも面白くて役に立つ研究ができるように頑張っていきたいと思います. (2011/4/11)

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月に2回程度の更新を目標としています

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