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平泉・花巻・遠野,車での東北ぶらり旅
いつの間にやらできていた祝日・海の日に有給をプラスして4連休.つくばから車でおよそ6時間,岩手に行ってきました.目指すは奥州平泉.残念ながら今年の世界遺産への登録はなりませんでしたが,前々から行きたかったところ.朋の行きたい宮沢賢治の育った花巻も近いので,その2箇所を中心に計画を立てました.

奥州に到着してまず向かったのはウニ丼屋.この時期が旬です.てんこ盛りのウニ丼を食べて一服.運転の疲れを取ります.そして次に向かった先は達谷窟毘沙門堂.平泉といえば奥州藤原氏ですが,ここは藤原氏以前の遺構で,坂上田村麻呂が蝦夷征伐の際に毘沙門天を祀ったと伝わるところです.

石に挟まるように建つ毘沙門堂は圧巻でした.すぐ隣の岩壁には磨崖仏が彫られているのですが,風化が進んでいるらしく現在残るのは顔部分のみ.胴体は崩落してしまっていて瓦礫が山積みになっていました.これは源義家が前九年・後三年の合戦の戦死者を弔うために掘ったものです.

次の日は朝から中尊寺と毛越寺(もうつうじ)です.光り輝く金色堂と極楽浄土を描いた毛越寺.こちらはそのうち歴史の歩き方に書くつもりですが,前に行った岡山,松江,出雲がまだ溜まっています…なんとかしないと…

行ってすぐに書かないと臨場感のある文章が書けないので良くないんですが…頑張ります.

少し時間があったので,猊鼻渓(げいびきょう)に行きました.ここは岩がせり立つ名勝でげいび追分を聞きながら竿舟でのんびりと川下りが楽しめます.緑濃い中を船でゆられること1時間半の船旅です.途中の迫ってくるような岩壁は迫力がありました.

折り返し地点で船を下りて少し散策できるのですが,先にあるのが岩壁に空いた穴.『縁』とか『運』とか『寿』とかが焼印された素焼きの玉が売られていて,それを投げて穴の中に入れると願いが成就するとか.5つで100円.朋と私で5つずつで挑戦しました.

なんと私が最後に投げた玉が見事に的中.確か『運』だったと思います.運がよくなりますように…

この日は花巻温泉郷の鉛温泉で1泊.宿はネットで探しました.秘湯で高級温泉のはずなんですが,なぜかものすごい安い部屋が.機密性が低いので音が気になる人には不向きとか書かれていて,どんなところだろうとドキドキしながら温泉宿に向かいました.

外見は古くレトロでいい感じ.なかなか良さそうだと思ったらそこは旅館部で我々の予約はその横の自炊部.宿の名前は一緒で中も迷路のような廊下でつながっていて行き来はできるのですが,旅館部と自炊部は完全な別もので,我々の泊まる自炊部は長期間の湯治に使われていた宿です.

旅館部と自炊部は何かと区別されていて(値段は3倍ほど違うので当たり前ですが),スリッパも違うし,パンフレットはカラーと白黒の違いがあるしで中々面白いです.

部屋に案内されると,こんなところがあるんだ〜と衝撃を受けました.部屋は6畳くらいで古いけどまぁ普通なんですが,入り口は鍵もなく,というか扉もなく,部屋番号が書かれていて,ここは監獄?って雰囲気でした.冷蔵庫,扇風機などは有料での貸し出し.暑かったので扇風機だけ借りることにしました.250円.

昔は湯治で栄えたのでしょうが(少し前まで8年間宿泊していた人がいたそうです),最近ではそういう客もめっきり減ってしまって新たな客探しをしているのでしょう.クラブの合宿なんかで来ている人も多いようで,若い人たちがキャッキャキャッキャいいながら自炊をしていました.もちろん食事の注文もできます.どんな食事が来るのかと思いきや,普通の定食でした.

湯治部には温泉が3つあって,すべて源泉の違う源泉掛け流し.名物は日本一深い岩風呂で立って入る温泉です.昔は普通の温泉だったのが,お湯が出なくなって掘り進めているうちに今のようになったとか.2階から地下1階くらいまでをぶち抜いた中に深い温泉がありました.

いやぁ貴重な体験をしました.一見の価値はあります.

奥州藤原氏の次は宮沢賢治です.生まれ育った生家が移築されて残っています.家の大きさから推測するになかなか豊かな家のよう.玄関前には有名な『下ノ畑ニ居リマス 賢治』の黒板があります.

次に向かったのが賢治記念館.今まで色々な記念館に行きましたが,どこよりも人が多く混雑していてびっくりしました.辺鄙な場所にも関わらず.宮沢賢治は人気があるようです.

賢治は結構変わり者のようで,羅須地人協会とかいうものを作って農民達の教育の場を作ったとか.まぁ一歩間違えれば怪しい新興宗教にも思えます.賢治のお父さんもかなり手を焼いたようです.羅須の意味はよく分かってないようです.また,出版した本のタイトルに使われたイーハトーブは岩手をエスペラント語風に発音したもの.これも意味不明です.言葉の音を楽しんだのでしょうか.

昼ごはんは賢治も通ったという蕎麦屋さんに立ち寄りました.朋は賢治が好んで食べたという天婦羅蕎麦とサイダー.私はわんこ蕎麦に挑戦しました.学生の時に研究会で初めて盛岡に行ったのですが,その時は一人だったのでわんこ蕎麦を食べそこねて悲しい思いをしました.今回はそのリベンジです.

といっても車の運転もあるし,あんまり無理をしてもその後しんどいので腹一杯になる前にやめました.男性の平均が50杯くらいだそうですが,食べたのが60杯.小結の認定書を頂きました.10〜15杯で1人前くらいだそうです.隣の夫婦は男性が80杯で大関,女性が70杯程食べて当分動けなさそうと言っていました.

花巻周辺を観光した後に遠野に行きました.民俗学者の柳田國男が伝承が残っている村として取り上げ『遠野物語』を書いた舞台です.伝承の残る民話の故郷ということでどんなに閉ざされた田舎町かと思っていたら,景色はつくば周辺とそんなに変わりません.つくば周辺は結構田舎なのでそれにすっかり慣れてしまったのだと思います.

近くに河童淵という河童が住むと伝わる場所があるのですが,つくば付近にも牛久沼という河童伝承の地があって,そんなに変わりませんでした.

最終日は前沢牛を食べて早めに帰りました.次の日はハリーポッター最終巻の発売日で朋は朝6時から出勤です.今回の旅行は車での東北の距離感がつかめたのが収穫でした.

つい先日も宮城南部沖地震があったばかりですが,帰ってきた翌日の深夜にも正に今回旅行していた辺りを震源に大地震が発生しました.つくばもかなり揺れました.死者は出ていないようなので一安心ですが,東北全域の一日も早い復興を願っています. (2008/7/19〜22)

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