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SL・あぷとラインによる大井川鐵道の旅
SLに乗るため,大井川鐵道に行ってきました.大井川鐵道は金谷から井川まで.そのうち金谷から千頭まではSLが,千頭から井川まではミニ鉄道が走っています. せっかくここまで来たのだからと思い,時間的には行ってもすぐに戻ってこないと家に帰れないのですが,終点井川までのフリー切符を買うことにしました.

金谷は旧東海道の通っていた町で,東海道の石畳を復元するなどして,歴史街道としての見所もあるようなのですが, 今回はSLの待ち時間に少し石畳を歩いただけで,十分に見て回る時間はありませんでした.

金谷駅で待っているとSLがバックで駅に入ってきました.金谷駅はとても短く,後ろの数車両しか駅に入りません. つまり,金谷駅では先頭車両を見ることができないのです(よく考えると当たり前なのですが…).

金谷駅を出た時はガラガラに空いていたのですが,次の新金谷の駅でたくさんの人が乗ってきて,満員になりました. 新金谷は大きな駐車場があるので,車やバスで乗り継ぐ場合には新金谷から乗ることになります. 我々はJR乗り換えだったので金谷駅からSLに乗ったのですが,金谷駅ではSLが煙を上げて走っているところを見ることができません. 先に新金谷まで行っておけば良かったと後悔しました.

乗ってみた感想ですが,やはり蒸気機関では滑らかにスピードを上げるのが難しいようで,発車の時には思っていた以上に揺れました. また,客車も当時のもので木造の内装がいい雰囲気を醸し出しています.

蒸気を上げながら走っている車両には,時おり煙と油のにおいが入ってきます.このSLが現役で走っていた大正時代は今と時間や距離の概念が違ったことでしょう. このにおいをかぎながら,不安な気持ちを押さえながらも希望に夢見て田舎から都会を目指したのだろうなぁとか勝手な想像が膨らみました.

SLの終着駅である千頭駅に着いて,ようやくSLの先頭車両を見ることができました. また,石炭をくべる所も見ることができました.

金谷から千頭まで1時間20分の運転で約1トンもの石炭を使うそうです. 確かにSLに乗るのは楽しいですが,汽笛はうるさいでしょうし,モクモクと出される煙で途中のマンションの壁は真っ黒になっていました. 沿線の住人にとって実はいい迷惑なんだろうなとか余計なことが頭をよぎりました.

千頭からは,立つと頭が着くくらいのミニ鉄道に乗り換えて終点の井川を目指します. 多くの乗客はSL目当てのようで,ミニ鉄道に乗る人はあまりいませんでした.

このミニ鉄道は発電所建設のための路線を走る鉄道で,何度も橋を渡り,何度もトンネルを潜り,右に左に大井川を見ながら自然の中を走り抜けます.

途中のアプトいちしろ駅から長島ダムまでの区間は,日本で唯一のアプト式と呼ばれる方式で急勾配を上ります. アプト式とは線路中央に歯形レールを敷き,歯車を付けた車両を噛み合わせることで急勾配の移動を可能にする方式のことで,この区間の 90/1000 の勾配は鉄道日本一だそうです.

景色といい鉄道のサイズといい黒部で乗ったトロッコ列車と雰囲気が非常によく似ています.

一番印象に残ったのは,奥大井レインボーブリッジに挟まれ湖の中に浮かぶように建つ奥大井湖上駅です. この時期は歩けないそうですが,奥大井湖上駅から接岨峡温泉駅までを歩いて,温泉につかって帰るというのがベストコースではないでしょうか.

終着の井川駅ではとても寒かったので,おでんを食べて体を温め,来た道と同じ道で帰りました.3:40でありながらすでに終電でした. やはりこの時期の山の中は花粉が多いのでしょう.普段の生活では花粉症と言う訳ではないのですが,車中クシャミが止まりませんでした.(2005/3/20)

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