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四千万歩の女 〜伊能大図里帰りフロア展にて〜
伊能忠敬が作った日本地図がアメリカ議会図書館で発見されたというニュースが2001年に日本中を駆け巡りました. 伊能忠敬が日本地図を作ったということは歴史で学んで知っているでしょうが,「伊能図」の詳細については知らない人も多いのではないでしょうか.

伊能忠敬が作った日本地図は,伊能図と呼ばれ大図,中図,小図に分類され, それぞれ36000分の1,216000分の1,432000分の1の縮尺で描かれています. 最も詳細に描かれている大図は,1町を1分(約109mを約3cm)で描いており全214面で北海道から九州までをカバーしています.

しかし,明治初期の皇居火災や関東大震災で伊能図の正本・複本の多くは消失し,全214面のうち約60面ほどしか存在が確認されていませんでした. ところが,2001年春に伊能大図の写し207面がワシントンの議会図書館から発見されたのです. 日本で確認されているものを除けば,不足面は4面を残すのみになり,世紀の大発見でした.

どういった理由でアメリカに渡ったのかは記録されていませんが, アメリカで発見された伊能大図を日本列島のように並べてみようという企画が名古屋ドームで行われていたので,見に行ってきました. 36000分の1の大きさの日本地図が名古屋ドームに並べられることになります.

忠敬は55歳から測量を始め,16年間で10回の測量を行い伊能図を完成させました. 伊能図が完成したのは約200年前のことであり,それまでは日本がどのような形をしていたのか余り良く分かっていなかった訳ですから, 簡単な道具と歩測によってわずか0.2%の誤差でほぼ日本全土の地図を完成したというのは驚きです.

やはり地元の愛知は人気があるのためか,中部地区だけは地図の上を自由に歩き回ることができるコーナーが設けられていました. 地名や道も表示されているので,現在の地名や道路と比較しながら見ると楽しいです. この付近では大曽根村や春日井郡,小幡村などが記述されており「あるある」と叫びながら指さしている人がたくさんいました.

また,地図としての完成度が高いのはもちろんなのですが,城や町,山の様子なども随所に描かれており, 美術品としての完成度も非常に高いと思います.

忠敬は一定の歩幅で歩く訓練をし,歩数によっておよその長さを測ったことが知られています. それを体験してみようということで,予め自分の歩幅を測っておき四角形に張られたロープ上を歩き,その長さを歩測するという企画がありました. 伊能図と同じ0.2%以内の誤差なら認定書がもらえます.

一定の歩幅で歩くというのは思ったよりも難しいようで,実際は75メートル位のロープだったのですが,私の歩測では10%近い誤差がありました. ところがびっくり,朋が…なんと…認定書をゲット!歩測名人認定書なるものを頂きました.

井上ひさしが「四千万歩の男」というタイトルで伊能忠敬の小説を書いています. 四千万歩と言うのは忠敬が測量を始めてから歩いたと言われる歩数です. 朋も四千万歩を歩いて測量すれば,伊能図のような精巧な地図が作れるかも知れません. その時の本のタイトルは…このページのタイトルの様になるかもしれない.(2004/10/30)

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