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ICPRでの発表のためケンブリッジへ
ICPRという国際会議で発表するために,イギリスのケンブリッジ大学に行ってきました. ICPRはパターン認識関係の国際会議では権威のある会議で,今年は1000件近い発表がありました. 会議は2年に1度開催されるのですが,年々難しくなってきているようで,今年の採択率は50%ちょっとでした. 半数近くが落ちる訳ですから,通すことができて良かったと思います.

今回の発表はオーラルではなくポスターでした. オーラルでの発表の場合は,全部説明してから質問を受けるのですが, ポスターの場合はポスターを使って説明しながら,質問を受けることになるので英語でのコミニュケーション力が大事です. また,発表時間も2時間近くあるので大変です.

プログラムの私の発表タイトルに蛍光ペンでマークをつけて聞きにきてくれた人もいて,とてもうれしかったのですが, 相手の突っ込んだ質問に詳しく答え切れなかったりして申し訳なかったです. 毎回,国際会議に行くと英語を勉強しないといけないなと思うのですが,なかなか長続きさせるのが難しいです. 次の国際会議での発表までには….

1000件近くの発表があるってことは参加者は2000くらいは来ているのでしょうか? ウェルカムパーティーは人数が多過ぎて自由に歩く隙間もないくらいで,大変なことになっていました.

ケンブリッジはロンドンから電車で1時間くらいのところある大学都市で大学見学が観光の目玉です. しかし,ケンブリッジ大学という建物がある訳ではなく,カレッジの集合体の総称をケンブリッジ大学と呼んでいます. 1441年にヘンリー6世が建てたキングズ・カレッジをはじめセント・ジョーンズ・カレッジや, 30名以上のノーベル賞学者やニュートンを送出したトリニティー・カレッジなどを見学しました.

どの建物も立派で日本の大学にある建物とは比べ物になりません.そもそも古さが日本の建物とは比べ物になりません.日本で言えば室町時代の建物なんですから…. 建物の雰囲気は大学というよりは宗教的な印象が色濃く,教会みたいな感じがしました. キングズ・カレッジの隣にはキングズ・チャペルもあり,学問と政治と宗教が権力と密接に関わっていたことを感じさせました.

まぁ,日本の私立高校の多くも宗教法人によって運営されていますから,日本でも学問と宗教の結び付きは強かったのかも知れません. そう言えば,私の母校は京都の東寺の横にありますから,外人が見ればすごいって思うでしょうね. よく考えれば,私の母校は828年に弘法大師空海が創設した綜藝種智院がルーツなのでケンブリッジなんかよりもず〜っと古いですね.

ケンブリッジのもう一つの観光スポットはパントです. 長い棒で川底を押しながら進むパントと呼ばれる小舟に乗ってケム川を下ります. (ケンブリッジって文字通り「ケム」川の「橋」ってことなんですね.) パントではカレッジの裏側を見ながら,ベネチアにもあるため息橋や数学橋などの下を通り抜け,ゆっくり移動します.

混雑する前にと思って朝一番にパントに乗ったのですが,東大の池内先生が後から乗ってこられてきたのでびっくりしました. 池内先生は招待講演での発表があるために来られていたようです. ちょうど最近行っている研究は池内研のテーマと似ているので,これも何かの縁かと思って挨拶をしました.

会議の後に休みを1日もらってブライトンを経由してセブン・シスターズに行きました. 白亜紀に堆積した石灰岩でできた断崖は7つの頂きがあることからセブン・シスターズと呼ばれています.

バスに乗って最寄りまで行くと小さなビジターセンターのようなものがあり,歩いて海岸まで1時間くらいかかると言われました. 今回はバックパックでの旅行だったのですが,重い荷物を担いで往復2時間歩くのはきついなと思って,荷物預り所がないか聞いたのですが「ない」の一言でした. 地図を見ながら困っていたら,ビジターセンターのおじさんが「預ってあげよう」とのこと.本当に感謝でした. 生後間もないころに日本に行ったことがあるらしく,親日家のようでしたので日本から持って来ていた日本風の絵はがきをプレゼントしたら大層よろこんでいました.

ビジターセンターから海岸までは羊や馬などを横目に見ながら広大な大草原をのんびり歩いて30分くらいでした. 海岸からはセブン・シスターズが見えます.荷物を預ってもらって身軽になっていたので頂きの一つにも登りました. 絶景ですが,断崖は年間30〜40センチというスピードで崩れて後退しているらしく,断崖の近くに行くのは非常に恐かったです.

イギリスでの食事と言えばバブで飲みながらフィッシュアンドチップスというのが一般的でしょうか. ちょうどオリンピックの時期だったので(こちらではほとんど時差なしで見ることができる)女子マラソンをパブで見ようと思いあちこちパブを回ったのですが, どこも放送しているのはサッカーばかりです. イギリスからも世界記録を持っているラドクリフが走るというのにこちらの人はオリンピックにあんまり興味がなさそうでした. あきらめてホテルに向かう途中でマラソンをやっているパブを見つけたのでラドクリフのリタイアと野口の金を見届けることができました.

食事に関して言えば日本食も流行っているようでロンドンのパディントン駅には回転寿司があり,スーパーにも寿司のパックが売られていました. ちょっと割高ですが,イギリスの食事に飽きてきた最終日に寿司パックを買って空港で食べてみました.ご飯は少し硬かったですが,まぁ寿司っぽい味でした….

今回はICPRでの発表のためにケンブリッジに行った訳ですが,有名な国際会議には定期的に出しておくべきだと思います. やはり,見ている人の数が全然違います.画像系ではICCV,CVPR,ICPR.ロボット系ではICRA,IROSあたりでしょうか. 有名な国際会議は採択率は低いので通すのは難しいですが,少しでも多くの研究者の目に触れるように頑張らねば. (2004/8/21〜29)

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