アントクアリウムの観察記 (終了)
2004年10月13日 アントクアリウム購入
アントクアリウムというものをご存知でしょうか?
NASAが宇宙での無重力状態における生物活動を調べるために開発したもので,
アリが生活するための栄養分を含んだ特殊なジェルでできており,アリの巣となり餌となるものです.
前にテレビか新聞で紹介されていたのを見て知ってはいたのですが,東急ハンズで見つけたので思わず購入してしまいました.
研究者たる者,色々なことに興味を持つことが発想の転換に結び付くことでしょう…多分….その値段,3150円也.
2004年10月14日 アリの捕獲
チョコレートを置いて,アリの捕獲作戦.
説明書には大きなアリを5,6匹入れるとよいと書かれているが,観察していると大きなアリは一人プレーが多く,
小さいアリの方が共同生活に向いている気がするため,小さいアリを多めに入れることにする.
しかし,数が多くなってくると数匹を新しく入れようとすると中の数匹が脱出するという状態になり,
蚊にもたくさん刺されたので20数匹で断念.
一郎,次郎,三郎…二十郎…と名前を付けようと思うものの見分けがつかない….
それよりも中で動き回っているので何匹いるか数えることができません.野鳥の会の皆さん数えて下さい….
蓋の隙間から逃げようとするアリもいるのだが大丈夫だろうか?
と思っていると,空気穴から2匹脱走!セロハンテープで空気穴を塞ぎ,針で小さな穴を開けておきました.
始めのうちはてんでバラバラに動き回っていたのですが,3時間くらい経つと2箇所に穴を掘り始めました.
そうすると不思議なもので掘り出した穴の周辺にほとんどのアリが集まって手伝っています.
そうこうしているうちに隙間から3匹が脱走に成功!!いつの間にか脱出したアリが机の上を歩いていました.
一匹が脱出に成功するとその後ろから数匹が付いてきます.
協調しているのがよく分かって面白いです…とも言っておられず,隙間をセロテープで完全に密封(窒息しませんように…).
帰る直前の巣の深さは2センチ5ミリくらいでした.明日の朝が楽しみです.
2004年10月15日 速くも底まで届いた
朝見てみると巣は底まで届いており,横向きにも掘っていました.さすがに数が多いので仕事が速いようです.
写真では分かりにくいので掘った部分を赤で着色してみました.
観察記をつけようにもこれだけ速いと,すぐに書くことがなくなってしまうかもしれません.
帰る前に厳重に密閉しておいたのですが,アリが逃げていなくて一安心.蓋を開けて空気の入れ換えをして,また密閉しておきました.
今まで掘っていたのと反対側の角を掘り始めています.この分だと夕方くらいには反対側の穴も底まで届くのではないでしょうか?
土日を挟むので2日間でどれだけ進むかを調べるために,今日の状態の展開図を作ってみました.
大きい巣の方をサイド1…じゃなくて…ネスト1,小さい方をネスト2と命名.
月曜の朝が楽しみです.換気が心配なので小さな穴をたくさん開けた蓋を自作.
これで,多分窒息死の心配がなくなりました.
2004年10月18日 ネスト1とネスト2がつながる
結局土日は家に持って帰って観察していたのですが,命名したのも束の間で,16日の間にネスト1とネスト2はつながって,一つの巨大ネストが完成しました.
横穴が増えてきて,随分と巣らしくなってきました.展開図を見比べるとどのように進んだのかが良く分かります.
このままだと観察記と言っても,後は穴が増えていくだけになってしまいそうなので,
容器を傾けて置くとか,餌を入れてみるとか何か外的な要因を加えようと思っているのですが,何をするかは思案中です.
2004年10月19日 昇天
アリが寝ているのか?死んでいるのか?の区別が非常に難しい.体を半分に折ってうずくまっていたり,仰向けになってひっくり返っていたりするため,
死んでいるのかと思えば,しばらくしたら動き始めていることが良くあります.
朝,容器を覗き込むと一匹のアリをもう一匹のアリを一所懸命運んでいるところを目撃しました.
二匹のアリがじゃれている?姿は良く見かけるのですが,このような姿は始めて見たので,一匹のアリは死んでしまったのかもしれません.
説明書によるとアリは埋葬の習慣があるそうです.
生き物を飼うと必ず「死」は付いてくるものですが,やはり罪悪感と悲しみが生じてきます.
こんな容器に入れられなければもう少し長生きできたかもしれないのに….合掌.
2004年10月20日 共食い?
黒い点が幾つかころがっています.
非常に小さいアリなので,じ〜っと見てもよく分からないのですが,死んでしまったアリがバラバラにされて頭,胸,腹に分離しているように思えます.
もしかしたら共食いでしょうか?
特殊なジェルは餌になるとのことでしたが,おいしくないのかな?と思い,
チョコレートのかけらを入れてみると,一時はたくさんのアリが集まってきたのですが,しばらくすると見向きもしなくなりました.
2004年10月21日 チョコを隠せ!
昨日入れたチョコレートですが,今朝見てみるとジェルの削りカスで覆われていました.
隠しているつもりなのだろうか?それともおいしくないのだろうか?.
でも,ここに捕まえられているアリはチョコレートに引き寄せられてきたアリ達なんだけど.
バラバラになった死骸が2匹分になっているような気がします.
ちゃんと中に何匹いるか数えられれば確認できるのですが….
2004年10月22日 まだまだ掘るぞ
もしかしたら2〜3匹くらい死んでしまっているのかも知れませんが,全体で見るとたくさんのアリが大きくなったネストの中を走り回っており,
数匹のアリは一所懸命に巣を拡大しようと頑張っています.
今回の写真も分かりにくいので,巣穴に赤色を着色しています.
こういうものを撮影していると段々マクロレンズが欲しくなってきます….
2004年10月25日 これからの更新
巣はまだまだ拡大していっており,表面だけではなく3次元的に中にも道を掘っているので,単純に展開図だけで巣を表現するのが難しくなってきました.
巣に道がたくさんできたので,アリ達はところ狭しと走り回っています.
これからも基本的には巣が大きくなっていくだけでしょうから,これからの更新はゆっくり目にしていく予定です.
2004年11月17日 約1ヶ月
アントクアリウムでアリを飼育し始めてから1ヶ月が経ちました.
何匹かは天に召されたようで,頭・胸・腹がバラバラになってしまったものがいて,あまり見栄えは良くないです.
数えてみると動き回っているのが11匹.壁とジェルの間に挟まって動けないのが1匹.動かないのが6匹.
動かないのは,生きているのか死んでいるのかは判断できません.
今までの経験では死んでいると思っていてもしばらくしたら動き始めることが良くあります.
チョコレートを入れると前と同じようにジェルのかけらでせっせと隠そうとしています.なぜだろう?
2004年12月5日 6匹の生き残り
動いている6匹を残して,多くのアリがお亡くなりになっているようです.動いている6匹も心無しか弱ってきているように思います.
一週間ほど前から突然動かないアリが増えてきました.冬を前にしてそろそろ寿命でしょうか?分っていたことですが,心が痛みます.
2004年12月6日 千鳥足
生き残りの6匹の動きを眺めていると,フラフラと千鳥足のアリが1匹います.よくよく観察してみると,左の後ろ足が半分くらいしかありません.
アントクアリウムに入る前からこの状態だったのでしょうか?それとも途中でモゲてしまったのでしょうか?
何かの拍子にひっくり返るとなかなか起き上がれないながらも,頑張って歩いている姿にエールを送りたいと思います.
2004年12月14日 ラスト・アント
パッと見たところ動いているのは最後の一匹になりました.その一匹の動きも非常にゆっくりです.
体がうまく動かせないように見え,あまり先は長くなさそうです.もう寿命でしょうか?
それとも寒さで体が動かないのでしょうか?
2004年12月17日 合掌
昨日から,すべてのアリが動かなくなりました.寒さも関係があるのかな?と思い暖房器具の近くに置いてみたのですが,もう動くことはありませんでした.
アリを取り出すためにアントクアリウムのジェルを触ったのですが,思ったよりも柔らかくベトベトした手触りでした.
アリにとって長いのか短いのか分かりませんが,アントクアリウムに入ってから約2ヶ月の命.捕まえてきた巣の近くに埋めてあげました.合掌.
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